こどものむし歯予防
こどものむし歯予防
お子さんのお口をむし歯から守りましょう
こどもの頃の生活習慣は、そのあとの生涯にそのまま引き継がれます。食事のスタイル、お口の中の環境、といった歯科に関連する要素も同じです。
むし歯になりにくい環境をつくることができれば、一生むし歯にならずに済むといっても言い過ぎではないのです。歯科を扱う私どもにとって、
ご家族がお子さんの口の中に興味を持たれることは大変喜ばしいことです。
こどもの歯・口の中についての正しい知識をもつことで、お子さんの将来の健康を作る第一歩となります。気になることは、その都度ご相談下さい。
乳歯の大切な役割
乳歯には丈夫な永久歯が生えるための準備をしたり、永久歯を正しい位置に導くといった役割があります。乳歯にむし歯があったり、
むし歯によって歯が早く抜けてしまったりすると、そのあとに生えてくる永久歯の形や色、歯並びに悪い影響が出る可能性があります。
その他にも、あごの骨の成長や知能の発達、正常な噛み合わせにも影響を及ぼしています。
むし歯菌への感染時期を遅らせることで、将来むし歯ができにくくなるというデータも報告されています。
むし歯菌に感染しやすい時期「感染の窓」について
前歯が生え揃い奥歯が生え出す19ヶ月から31ヶ月(約1歳から3歳まで)は「感染の窓」と呼ばれ、お子さんが特にむし歯菌に感染しやすい時期と言われています。 この時期以降になると口の中の細菌のバランスが決まっていくため、感染の可能性は低くなってきますが、この時期に感染するとミュータンス菌は優勢になり、 生涯むし歯とお付き合いすることになります。「感染の窓」が開く時期に、お母さんをはじめとするご家族がお口のケアをきちんと行い、 お子さんにミュータンス菌の感染の時期を遅らせるだけでも、将来のむし歯のリスクが減少することが報告されています。
初めてのむし歯が早いと将来のむし歯も多くなる
最初のむし歯が早ければ早いほど将来のむし歯の数は増加し、3歳児検診の時にむし歯が多くなる事がわかっています。
下の表で3歳で「むし歯が6歯以上の小児の割合」を見ると、2歳でむし歯がない場合は3.1%に対し、1歳6ヶ月以前に最初のむし歯があると60.9%とかなり多いことが分かります。
欧米でも、乳児期と幼児期初期に重症齲蝕のあるこどもは、増齢とともにむし歯が増加し、全ての歯が永久歯の永久歯列期になってもむし歯にかかるリスクが高いことが実証されています。
齲蝕の初発時期別にみた3歳児の齲蝕罹患状態
齲蝕の初発時期 | 小児数(人) | 6歯以上の 齲蝕を有する 小児の割合(人) | 齲蝕歯数 | |
---|---|---|---|---|
平均 | 標準偏差 | |||
1歳6ヶ月以前 | 32 | 14(60.9%) | 7.28 | 1.50 |
1歳6ヶ月から2歳 | 32 | 14(43.8%) | 6.36 | 4.34 |
2歳から3歳 | 64 | 10(15.6%) | 3.25 | 2.79 |
2歳時に無齲蝕の小児 * | 319 | 10(3.1%) | 0.66 | 1.80 |
* 3歳児に無齲蝕の小児255名を含む。
「歯科学報30-Aug-2001 『少子社会における小児期の口腔健康管理: 8020は小児から3.乳歯列期における口腔健康管理』米津, 卓郎; 関口, 浩; 久保, 周平; 薬師寺, 仁; 小児歯科学」より引用
お子さんに感染させないためにお母さんのお口のケアを
お子さんをミュータンス菌の感染から守るためには、お母さんからお子さんへのミュータンス菌の伝播を遅らせることが大切です。 右のグラフは、初産の母子を子供が3歳になるまで母親の口腔管理を行ない、その後7歳になるまで子供の口腔を追跡調査したもので、 3歳までのこどもへの感染は何も行なわなかったグループに比べて齲蝕病原細菌の検出率が非常に低く、その後低いまま保たれているのがわかります。
お子さんに齲蝕病原細菌を移さないために日常生活で気をつけて頂きたい5つのポイントをご紹介します。このポイントに加えてお母さんをはじめご家族は毎日のケアを徹底して頂き、歯科医院での定期的なクリーニングを受けることで、お子さんのお口の中を守っていきましょう。
お子さんに齲蝕病原細菌を移さないために日常生活で気をつけて頂きたい5つのポイントをご紹介します。このポイントに加えてお母さんをはじめご家族は毎日のケアを徹底して頂き、歯科医院での定期的なクリーニングを受けることで、お子さんのお口の中を守っていきましょう。
1. 大人とスプーンなどを共有しない
むし歯菌は大人からの感染を防ぐためスプーンや箸の共有は避け、食べ物の口うつしもやめましょう。
2. 甘いものは避けてリンやカルシウムの含まれる食材を取る
目に見えないむし歯菌を完全に避けることは難しいですが、甘いもの避けることで菌の増殖を防ぐことができます。また、歯によいリンやカルシウムなどのミネラルを多く含む食材を積極的に取り入れましょう。よく噛むことで唾液がたくさん出るような食品がおススメです。
3. ダラダラ食べない
常に食べ物があるとお口の中はむし歯ができやすい酸性の状態に傾いたままになります。食事やおやつはきちんと時間を決めてとりましょう。
4. 食後には歯磨きする
むし歯予防には食後の歯みがきが大切です。食べた後は必ずみがく習慣をこどもの頃からつけることは生涯自分の歯でおいしく食べるためには重要です。
5. 仕上げ磨きをする
まだ自分で上手に磨けない年齢のお子さんはもちろんのこと、一人で磨けるようになっても小学校中学年くらいまではご家族の方が仕上げ磨きをしてあげましょう。