歯周病について
歯周病とは
歯周病とは細菌感染によって引き起こされる炎症疾患です。口腔内には300~400種類の細菌が存在しています。
これらの菌が歯肉溝(歯と歯ぐきの境目)のなかで異常増殖すると、歯茎に炎症が起こって赤くなったり腫れたりします。
この炎症が長期化し進行すると、歯の周りの組織(歯周組織)が破壊され、最後には歯が抜け落ちてしまいます。
歯周病の直接的な原因は、歯周病原菌に感染することです。
しかしその原因菌は、もともと私たちの体に住み着いてるものです。歯周病原菌は繁殖しやすい環境が整うと、繁殖して体に悪い影響を与えるようになります。そうして、細菌(歯周病原菌)に対し人間の体が反応(免疫反応)すると、その細菌だけでなく、歯茎や歯を支えている骨の一部を分解してしまうのです。
程度の違いがあっても、25歳以上の方の80%以上がこの歯周病にかかっているといわれており、歯を失ってしまう1番の原因としてむし歯よりも多くの割合を占めています。
最近では生活習慣病(糖尿病や高血圧など)の1つとされ、不規則な生活、ストレス、糖尿病、喫煙等により、歯周病がより悪化することがわかってきています。
進行してからでないと、症状が現れたころにはかなりひどい状態になっていることがあります。
歯周病セルフチェック
-こんな症状はありませんか?-
- 歯石が大量に付着している
- 歯茎が後退して歯が長く見える
- 口臭がきつい
- 歯と歯茎の境目から膿が出る
- 歯茎から出血する
- 歯がグラグラする
- 朝、口の中がネバネバする
- 歯周ポケットが6~8mm以上ある
このような歯のお悩みが多い方は歯周病が進行している場合がございます。
お早めに診察を受けましょう。
歯周病の症状
軽度の歯周病は歯肉の赤み・歯茎の腫れ・歯茎からの出血といった症状が表れます。中度の歯周病になると口臭が強くなり歯茎のかゆみが出始め、唾液がネバつきます。重度になると歯がグラグラ動き、歯肉が異常なほど下がり、歯が抜け落ちることもあります。
進行はゆっくりですが自覚症状は少なく、症状が進行しても歯周病であることに気づかないケースが多いです。歯が動いたり歯肉が異常に腫れたりしはじめて、歯周病を自覚される方がほとんどです。
歯周病になる根本的な原因は、歯周病原菌による感染です。歯周病原菌は繁殖しやすい環境が整うと、繁殖して体に悪い影響を与えるようになります。
根本的な原因である歯周病菌
歯垢(プラーク)中に潜む細菌は約500種類以上もいると言われます。その中でも白血球に害を与えたり、毒素を出すなどして歯周病の原因になる代表的な細菌がいます。歯周病の原因菌は、薬液や免疫細胞が作用して死ぬ時に菌の内部に溜め込んでいる「内毒素」を放出します。身体の免疫細胞は、その「内毒素」を取り除こうとし、過剰な反応が起こり、歯茎や歯を支える骨に炎症がおこります。
体の免疫力の低下
歯周病は感染症です。そのため免疫機能が下がると歯周病原菌が繁殖しやすくなり、歯周病の発症・進行に拍車をかけます。
私たち日本人が歯周病にかかっている割合を、体の免疫力が低下していく40代~60代は、歯周病にかかる方や歯周病が進行した方が増加する傾向にあります。
平成23年に厚生労働省が行った歯科疾患実態調査を、歯周ポケットの深さを測る検査「プローピング」で出血が起こるか、4mm以上の歯周ポケットを有しているかに着目して、歯科疾患実態調査を見ていきましょう。
平成23年、厚生労働省「歯科疾患実態調査」、「表V-1-1歯肉の所見の有無」より抜粋
- 40~49歳
- 免疫力の低下が進む40~49歳を見ていくと、プロービング後の出血は11.9%と変化はありませんが、4mm以上6mm未満の歯周ポケットがある方は22.0%から24.8%へと増加します。
- 50~59歳
- 50~59歳ではプローピング後の出血は8%前後ですが、4mm以上6mm未満の歯周ポケットがある方の割合は28.0%から36%に増加し、歯周病が進行している方が多い事がわかります。
- 60~64歳
- 60歳~64歳になると出血を起こす割合は9.1%、4mm以上の歯周ポケットを有している方は33.6%ですが、歯周病が進行して中期以降の歯周病になっている方が増加します。6mm以上の歯周ポケットを有する方は13.9%となり、歯が失われて検査対象の歯が減少する方も多くなります。
悪い生活習慣
下記のような生活習慣がある方は、歯周病が発症・進行するリスクが高いといえます。
- 喫煙
- ストレスをためやすい
- 間食が多い
- 歯磨きをきちんとしていない
- 甘いもの、柔らかいものを好んで食べる
- 歯ぎしりの癖
- よく噛まずに食べる
- 口呼吸による口内の乾燥
歯周病と全身疾患の関係
これまで歯周病は、お口の中だけの病気と考えられてきましたが、最近では、歯周病は全身疾患に悪影響を与えることがわかってきています。歯周病原菌は血管に入り込み、全身へと運ばれていきます。そして、糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞、妊婦の胎児へも影響を及ぼしていると言われています。